はじめに
当院が金属アレルギーのパッチテストに力を入れるようになったきっかけは、今から25年ほど前のことでした。ある一冊の本との出合い、そして内科医である私の伯父が40年来「扁平苔癬(へんぺいたいせん:お口の中などの粘膜にできる病変)」を患っており、その治療について相談を受けたことが始まりです。
日々の臨床において、歯科ほど多くの種類の金属材料を扱う科はありません。しかし、残念ながらその材質が体へ与える影響について、十分な配慮がなされていないケースも見受けられます。
現在では金属アレルギーパッチテストは保険適応となっています。ここでは、当院が実践している具体的な検査方法や取り組みについてお伝えします。
当院のパッチテスト用「金属試薬」

当院では、医療用の専用テープを使用し、パッチテストを行っています。
試薬は全部で20種類ほど存在しますが、当院では歯科治療でよく用いられる以下の17種類を厳選して検査を行っています。
塩化アルミニウム、塩化金酸、塩化第二スズ、塩化第二鉄、塩化白金酸、塩化パラジウム、三塩化インジウム、四塩化イリジウム、塩化亜鉛、塩化マンガン、臭化銀、硫化クロム、塩化コバルト、硫酸銅、塩化第二水銀、硫酸ニッケル、重クロム酸カリウム
検査の進め方(貼付方法)
金属アレルギーの試薬は種類が多いため、貼付面積の広い「背中」に行うのが最も適しています(状況に応じて腕や腹部に行うこともあります)。
背中に専用のテープを貼り、48時間そのまま過ごしていただきます。検査期間中はテープが剥がれたり汗で流れたりするのを防ぐため、入浴や激しい運動は控えていただき、下半身のシャワーや洗面所での洗髪をお願いしております。
判定方法とアフターケア

48時間後にご来院いただき、テープを剥がして皮膚の状態を確認し、写真に記録します。
基本的には、さらに96時間後(4日後)、そして1週間後にもご来院いただき、1週間目の状態を見て「最終判定」といたします。判定は、反応なし(陰性)から、赤みや水疱の程度によって強陽性まで細かく診断します。
もし陽性反応が出た部位については、お薬(軟膏)を処方し、しっかりと治癒するまで確認を行いますのでご安心ください。
さいごに:患者様にお伝えしたいこと
私たちは、お口の中に入る金属の性質について、患者様にもっと知っていただく必要があると考えています。特に保険診療で使われる金属の中には、アレルギーを引き起こしやすい材質が含まれていることも事実です。
また、お口の中に異なる種類の金属が入っていると、「ガルバニー電流」という微弱な電流が発生し、これが金属イオンを溶け出させ、アレルギーを促進させてしまうことがあります。前述した扁平苔癬も、金属による刺激が原因の一つであることが分かっています。
当院の経験上、歯科金属に対するアレルギー反応は非常に高い確率でみられます。私たち歯科医師が金属アレルギーに対して十分な知識を持ち、適切な治療を行えば、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を悪化させるリスクは防げると確信しています。
お口の金属トラブルでお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

